去年、私は事故にあい、生死をさまよいました。
1週間近く眠っていて、目を覚ましたら口の中に色んな機械がはいってるわ、
金縛りみたいな感じで体が動かないわ
それより、その状態を認識できないわで、大変でした。
だけど、リハビリをがんばったおかげで、医者には
「凄く回復が早い!」
と驚くくらい、退院を早める事が出来ました。
しかし、失ったものも多く、例えば口に機械を入れるために前歯は全滅で、現在入れ歯です。

娘(当時3歳)がいるのですが、夫の話だと私の看病と、仕事で手が回らなかったので、
娘をウトメに預けてたといわれました。
まあ、その当時はウトメは私に対してもごく普通の人だったので、
「ありがたいなあ、申し訳ないなあ」
って気持ちばかりありました。
私の実家は、離島なので本当に当時はウトメに預けるのが合理的だと思っていました。 

退院して、ウトメ宅へ娘を迎えに行くと、娘に開口一番にこういわれました。

「ママ!死ねばいいのに!」 って。

ビックリして、夫ともども凍りつきました。
ウトメは、
「あらあら、ママの事わからなくなっちゃったのね~。」
とか言い出して、本当に混乱しました。
確かに、当時は頭に包帯は巻いてたし、杖もついてました。
だから、娘には判別付きにくいのかしら?と、自分に言い聞かせて落ち着きました。

娘を連れ帰った後は、大変な日々でした。
いつの間に、入れ歯はなくなる、杖がなくなる、靴がなくなると、私の私物が次々と消えていきました。
探すと、どれもが娘のおもちゃ箱や、ベッドの下から出てきたのです。
私が娘を問い詰めても、「ママ、イヤー!ママシネー!」って泣き叫ぶばかり。
根負けしそうな時、夫が代わりに娘を問い詰めてくれました。

聞けば、私は偽者のママで、本物のママは死んだ。
殺したのは偽者のママで、秘密の指令でこのママを追い出してやれと言う事。
色んな嫌がらせは、毎晩秘密の指令を聞いている。
偽ママには、毎日一回は「シネ」って言えばいい、後は指示したものを隠せと言う指令。

その秘密の指令を出したのは、ウトメだと言う事。 

そう言えば、ウトメとは事故前もそうだったんですが、娘と夜に電話をするのが日課でした。
まさか、電話でそんな話をしてるとは…。
と言うか、偽ママの部分は、私が事故にあって娘を預かってからそう言う風に吹き込まれたらしいです。
夫も私も、驚きと怒りでぐちゃぐちゃになりました。
本当に、普通のウトメだったので全然そう言う片鱗がなかっただけに、怒りは結構なものでした。
しかも、自分の孫を使ってるんですよ。
「死ね」なんていわせて。

もう、ウトメを殴りそうな勢いで乗り込もうとした夫を止めて、夫と二人で話し合いをしました。
夜の、娘からウトメへの電話の時間になり、スピーカーにして話を聞いてみました。
まさか聞いてるとは思ってなかったのでしょう、トメがボソボソ声で
「孫ちゃん、秘密の指令守ってる?一緒にあの怪物を倒しちゃおうね。」
とか言ってるんですよ。
娘は、やはり子供ですので、
「ん~ん、そのね、お婆ちゃん、秘密じゃなくなっちゃって」
と言っちゃいました。
その場で娘から受話器を受け取って、
「全部夫君と聞きました。」
と言うと、トメ突然あわてて「アバッ…そう言う意味じゃなくて」とか意味不明なことを言い始めました。
夫は、受話器に向かって怒鳴る怒鳴る…。 怒鳴る夫を制止して、一言言いました。 

「しかし私は、生死の境をさまよったので貴方にシネなんていえない。
生きろ、生きて生きて孤独に生きろ!私も夫も娘も二度と会わない。
出来るだけ長く生きろ!この会話は録音して近所と、親戚に振りまいてやるから。
生きて生きて……孤独になれ!」

と言って、受話器を置きました。

んでもって、その通りにしました。

現在、親戚中から「孫にそんな事させるなんて!」と見放されたウトメ。
近所のスピーカーおばさんにも、この話と録音したテープを聞かせ、近所からもボソボソ。
かなり孤独に生きてるそうですよ、サークルとか誘われてたのに、最近誘われもせずに。

娘は、何とか今は普通の親子関係に戻っています。
私の事故のこと、怪我のこと、後遺症のこと、歯のこと、すべて話しました。
少し離れた場所に引越し、トメからの連絡も遮断しました。
スキンシップも出来るだけ取ったら、ウトメからの指令なんて忘れたかのように今は普通に接しています。
(それでも、心のどこかで覚えてるらしく、たまに夜鳴きしますが…)