ミ糞全盛期のころの修羅場ってほどでもないけど精神的に削られた話。
()の中は当時の年齢

俺…(27)メガネガリ 独身 ITドカタ
A子…(24)派遣社員 独身
B男…(31)課長補佐 イケメン 既婚者
C男…(29)メガネデブ 独身
D子…(27)派遣社員 既婚者


ある日おれが出張から戻ってくると、社内の空気が変だった。
お土産のお菓子を配っても、いつもならみんな我先に取りに来るのに
その日は「おなかへってないからいいや…」と避けやがる。
でもまあ気にせずにおれは通常業務に戻り数日が経った。

週明け、課長に呼びだされた。
なんかやたら遠まわしに
「噂のことを知ってるか」と言われた。
さっぱり覚えがないので「知りません」と言うと課長は困った顔をしていた。
入れ替わりにB男が呼ばれているようだったが
なんのこっちゃわからんので、おれもそのときは深く考えなかった。
仕事上のヘマか何かだと思ってたし。

さらに数日が経った。
年上だが部下という、ちょいやりにくいC男を交えおれは打ち合わせをしていた。
おれはC男に対し敬語を使ったり使わなかったりだったんだが
それが普段からC男には気に食わなかったらしい。
C男にぼそりと
「えらそうにすんな、ホモのくせに」
と言われた。

それなに、聞きちがいかな?と思い
「え?」と聞き返すと、C男が「いいかげんにしろホモ野郎、みんなきもがってんだよ」
と言いだした。

意味わからん。おれは女が好きでむしろ好きすぎて劣情をもてあましているというのに。
そんなC男を抑えようと奮闘してたのがD子だった。
D子は「恋愛は自由だから!」みたいなワケワカランことを叫んでいた。

C男が会議室のガラスを割ったため、おれは責任者として課長のもとへ行った。
そしたらなぜかB男も同席させられていた。

課長、おれとB男を見て
「率直に聞く。きみたちはそういう関係なのか」
と突如としてトチ狂ったことを言い出す。
なにを言っているんだ課長。
慌てるおれ。B男も呆然としていた。

そして発覚する事実。
なんか知らんがおれが出張に行ってる間に、そんなホモった噂が社内に蔓延していたらしい。
しかしおれとB男にはなんの接点もなく、そもそもろくに口きいたことすらない。
双方の携帯を提出し、お互いアドも番号も登録してないことを証明して
そのときはまあ終わった。

しばらくはイミフだったが、ある日上記の騒動の原因がわかった。
原因は派遣のA子だった。
A子は2chで言うところの腐女子ってやつで、おれとB男のホモネタ妄想日記をミ糞で連載していた。
B男がA子の好きなマンガキャラに似ていて、おれが同マンガのサブキャラに似ていたかららしい。
A子はミ糞は自分の仲間しか閲覧できないと思いこんでいたらしく
おれのこともB男も実名で妄想をたれ流してやがった。

それを見つけたのがC男とD子。
C男はおれが嫌いだったから「ホモ死ね」と憎しみをたぎらせ
逆にD子は「そっとしておいて見守ってあげなければ」と思ったらしい。
そしてそれぞれの勝手な思惑の中、おれとB男のホモ疑惑は社内に広がっていったのだそうな。

A子はもちろん切られたが、最後まで自分のなにが悪いかわかってなかった。
仲間内のノリに会社が口出すなんて!と思ってたらしい。
C男はクビになるほどじゃないと判断され、部署を異動になった。
D子は自分から更新せず辞めていった。

おれとB男はしばらく気まずかったが、もともとそんなに接点もないためすぐまた疎遠になった。
最近おれに彼女ができて、なぜかB男にまで
「おめでとう」
と言われたので思いだした。