会社に凄く声の大きい社員がいる。 
別の階にいても声が届くくらい大きい。 

加えて、社会人としては致命的レベルで空気を読まない。 
訴えられたら間違いなく負けるレベルのセクハラ発言もバンバンする。 

結果として、とんでもないセクハラ発言が階をまたいで響き渡る。 


しかし不思議なことに、それらの発言に全く悪意が感じられない。 
言われた人も聞いた人も「○○さんだからなあ」って感じで終了。 
会社の人間は誰一人として訴えるどころか怒りもしない。 

以上前提。 
以下本題。 


先日、社長が再婚し、式を上げる旨を発表した。 
しかし、 

・不倫の末の結婚である。 
・招待状作成などを社員にやらせる。 
・給与の支払いが遅れている。 
・取引先の社長が来て「こんな余裕があるなら未払い金処理してよ」と、招待状(欠席)を置いていく。 

などなどの理由から、会社内では全く歓迎ムードになっていなかった。 

そうしてやってきた式当日。 
幸い、式自体は極めてオーソドックスなもので、途中までは無難に進行していった。 
しかし、件の社員がやらかしてくれた。

スライドショーで、二人の写真が順々に映し出されたのだが、 
チェックが洩れたのか、それとも別に気にしていなかったのか、 
写真の隅に、前妻との子供が映った。 
その瞬間、 
「あれ良いの!? 太郎君だよね! 前の奥さんに引き取られたんでしょ!? 映ってるけど良いの!?」 
とヒソヒソ声(のつもり)で叫ぶ。 

新郎スピーチの 
「これからは二人、身の丈にあった生活を――」 
の瞬間、 
「あれかな! 『身の丈にあった』って事は、金集め頑張らないで、今月も給料遅れるのかな!?」 
とヒソヒソ声(のつもり)で叫ぶ。 

社員は皆、彼に悪気がない事は分かっている。 
むしろ(普段に比べれば)非常に小さい声から、彼なりに気を使っている事が分かる。 

しかしそれでも場所が場所。状況が状況。流石に気まずい。 
特に新婦親族・友人関係の席は、とてつもない盛り下がりを見せていた。 

唯一人、空気の重さに気付いていない彼以外にとっては、 
非常に居心地の悪い式となりました。