私は田舎に住んでて、夜に帰宅するときは人とすれ違うことはめったにありません。

しかし、今日の会社帰りにいつもみたいに一人で歩いてたら「うわーん、あはあー」と言いながら酔っ払いっぽいおじさんが私の後ろを歩いてたんです。

そうとう酔ってるみたいで、後ろでしきりに

「なんでー?松ノ木だいー?どうして君は松かねー?君も松かねー?」

と、桜の木しか無い並木道の木に話しかけたり危なっかしい様子でした。

だいぶ正体不明みたいだから何かあったら助けてやろう、とその時は思ってました。


何事もなく私の家のマンションの前に着きそうだったのですが、マンションの玄関扉のところに2人誰か立っており

「そこどいて」

「中戻れよ!」

と言い合ってました。

その2人はカップルらしくどうも喧嘩中みたいでした。

マンションに玄関扉はひとつしか無いのに彼氏はドアのしきりの外側で、何故か全身びしょぬれで立ち、彼女は彼氏を睨みつけながらドアのしきりの内側に立ってました。

通ろうと思っても八方塞がりです。

(今日は厄日だー)と思いながらどうにも部屋に帰れそうもないので、おじさんの方を見ると、「酔っちゃったかもー」と笑いながらカップルの方向に突き進もうとしてました。

(止めなきゃ!でも怖い!どうしよう!?)と静かに私パニック。

それでもカップルへと進み続けるおじさん。

睨み合うカップル。

カップルの方はまだ言い合っていて

彼氏は「別れるくらいなら死んでやるからな!灯油だぞ!」

とライターを振りかざしてました。

どうも灯油を頭から被ったから全身びしょぬれだった様子。

彼女は「それじゃないわ、違うでしょ。」
と謎の発言。


(マンションに帰ってきただけなのになんで目の前でこんなことが!?おじさんごめん!助けられない、私には!)と思ってたら急におじさんが

「うわー!」と、か細く叫びながら溝に片足を突っ込んでしまい

「こんな・・・こんなことー!こんなことって・・・!うわー!・・・本当にあるんだあー♪」

と満面の笑み。

楽しそうにはしゃぐおじさんとかわいそうに立ちすくむ私を尻目にカップルの彼女は

「灯油ってふざけてるの?ガソリンでしょ、被るなら」

と呆然としてる彼氏をよそに「くそったれ」と呟きながらドアをすり抜け、道路に軽々と去って行きました。

溝から足を引き上げたおじさんも「じゃあな、くそったれ」と彼氏に挨拶して颯爽と去って行きました。

玄関扉を占拠されたことや死ぬ死ぬ詐欺に巻き込まれたこと、心配が空回りに終わって安堵が怒りになったので私も2人(彼女とおじさん)に便乗して

「灯油ちゃんと掃除しとけよ!くそったれ!」

と言い逃げして4階の部屋まで一気に駆け上りました。

何が修羅場って彼氏の方がそのマンションの住民なんです。

明日からどうしよう、怖い。