数十年前、私がまだ独身の頃の話。 
大学に通いながら空いた時間にバイトしまくってた頃。 
コンビニだったんだけど、自分は主に深夜、たまに昼間も入ってました。 
パートやアルバイト従業員は数人しかおらず、万年人手不足の店で(ド田舎、若者が周りに住んでいない) 
私が前日に店長に出勤する旨を伝えてシフト表に書き込めばOKなわりかし自由な感じだった。 

お店には社員がいて、社員が店長と副店長を務めていて研修も兼ねてるらしく半年くらいで違う社員が来て代変わりしてた。 
とにかく人がいないので、バイトが出ない時間は社員が出ていて、私が出勤すると社員達は歓迎してお昼奢ってくれたりして結構楽しくやってた。 
そんなある日、ずっと張りっぱなしになってたバイト募集広告に若い女の子(20歳)が応募してきた。 
面接の時にちらっと見かけたけど、見た目中学生みたいな小柄な子。 
(彼女をAとします) 
店長に面接どうでしたと聞いたら「うん、採用!」と言っていた。 
面接ではハキハキと喋り、リクルートスーツで来たので好印象だったと。 
でも乳幼児持ちだから突然シフトに出られなくても容赦しろと言ってきたらしい。 
でも履歴書の扶養の欄には何も書いてない。 
彼女は未婚の母というやつらしく生活費を捻出しなきゃならないので、絶対働きたいと言う。 
人手不足ということもあり、店長も気に入って即採用。 
すぐに店に入ってもらうことになった。 


私は深夜シフト、Aは昼勤なのであまり顔を合わせる機会はないと思ったが、自分は休日祝日の昼間も入っていたのでシフトが重なる時があった。 
Aは教えたことはキチッとやるし、声かけもまずまず。 
社員達も飲み込みが早いとAを気に入ってる様子でした。 
これで社員や他の従業員達も少しは楽になるかな…と思ってたら、何だか様子が変わってきた。 

昼勤は主に主婦の方達がシフトに入っていて、お店のお局的パートさん達もこの時間帯。 
A、そのパートさん達にすこぶる評判が悪かった。 
店長にパートさん達がAの事で話があると何度も話し合っていた。 
私がパートさんにどうしたのか聞くと、何でもAは二周り近くも年上のパートさん達に終始タメ口。 
ヘラヘラニヤニヤと人をバカにした態度を取るらしかった。 
Aはまだ研修の身で、一緒にシフトに入った人が教育係をやらされるんだけど、そのパートさん達の指示をまるっと無視 
何故やらないのか指摘すると「はぁ~い」「うぃっす」「ん~?んふふ」とニヤニヤヘラヘラしてのらりくらりで仕事にならないと言う。 
Aが指示した事をやらないので、他のパートさん達がそれをやらねばならず業務が遅れる。 
Aのあの態度は何なんですか!!と店長にパートさん達が訴えたって感じだった。 
でも店長と私の前ではAはちゃんと敬語で話すし、指示した仕事はちゃんとやるんだよ。 
なのでパートさん達の話にええ?嘘ー?!って感じで驚いた。 
それから、Aに店長が業務中の態度を改めるようにと話したら「私はちゃんとやってます!」と言われ、辞められたくない店長はあまり何も言えず。 
そんなある日、休日の昼間に私がシフトに入ってると赤ちゃんを抱いたAが登場。 
買い物に来たらしく、何故かフフンとちょっとドヤ顔。 
あ、いらっしゃい…と声をかけるとAが男と腕を組んでる。 
でも高校の制服を着た少年だったので弟かな?と思ったらA、「旦那です~☆」と。 
は?旦那???と思ったらペコッと挨拶された。 
何と赤ちゃんの父親はまだ高校2年生で17歳。 
まだ結婚出来る年齢まで達していないので、高校を卒業したら籍を入れるとおっしゃっていて唖然。 
しかも何も買わずに出て行ったので一体何しに来たんだ?と呆気に取られてしまった。 
そんなこんなで、違う世界の住人かも…と思いながらも数日が経ったある日。 
職場に行くと店中がパニックになってた。

どうしたのか聞くと、売上金から三万も足りないらしく社員が血眼でカウンター内や事務所を捜索 
店員が釣銭間違いで客に間違って渡してないかなど防犯カメラの映像を巻き戻して見てた。 

昼前までは売上金額は合ってたから、問題はそれ以降の昼から夕方にかけて。 
その日私は珍しく夕方からだったので関係は無かったけど、その時間帯に出てたパートさん達には事情聴取みたいな感じで社員から取り調べ受けてた。 
すると次の日、原因がようやく判明。 
言わずもがなかもしれないけど、犯人はAだった。 

私は出勤前に犯人判明したとメールを貰い、店に出勤すると事務所内はド修羅場。事務所に入ると、そこには店長、AとA父がいた。 
Aは憮然とふて腐れたような感じで、店長は無表情で腕組み。 
そしてA父は不動明王のような真っ赤な憤怒の表情でAを睨みつけてる。 

うわぁ……と引き気味でいたらA父、Aの頭を力いっぱいゲンコツで殴り飛ばした。 
ぎゃあああああああーーーーーッ!!!と響き渡るAの叫び声とA父の「またやりやがったかーー!このバカ娘がーー!!」という怒声。 
「この!このぉ!いつまで経ったらお前の手癖の悪さは直るんだ!! 
またやりやがって!このクズがーーーー!!」と怒鳴り散らしながら娘の顔を平手打ち、文字通りのボコボコに殴るA父。 

ひいいいーーっと見てるこちらが泣きそうになりHP削られる気分だった。 
店長はこういう案件に慣れてるのか無表情。 
私涙目w

しばらく呆気に取られてたが、私は場違いだと思い売り場に出ようとしたら店長に止められた。 
「私さんにも関係あるから居て」と言われ、何が何だかわからない状態たったがその場に居させられることに。 

するとA父「申し訳ありませんでした。こいつは昔から手癖が悪くて、前の職場でも店の金に手を出してクビになってるんです。 
今回もここで働くことに私は反対していたんですが、子供が生まれてどうしても働くと言い張り止められませんでした。 
ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません!」と頭を下げてきた。 

ええー…しかもコイツ常習だったのかよ! 
と思ってたらAが反撃に出た。 
テーブルにあった物(パートさんの私物や資料書類など)をA父に投げつけた。 
「私がこんなんなったのはみんなお父さんのせいじゃん!お父さん達がお姉ちゃんばっかり可愛がるから!」

工エエェェ(´д`)ェェエエ工 
今度は家族喧嘩かよ…と思いAの赤ちゃん返り?に辟易してるとAとA父、何と取っ組み合いの親子喧嘩に発展。 
パイプ椅子を壁にたたき付けるはAは奇声を上げて「おおあああああああああーーーー!!」と発狂して叫ぶはでもう阿鼻叫喚。 
自分はもう怖くて怖くて、発狂した人間を見たのは生まれて初めてだったので壁際で縮こまってました。 

そんな中、A父の「あんな男認めない」「ガキに孫を養えるわけない」にAは更に発狂。 
「お姉ちゃんばっかり幸せになってズルイ!」 
「勉強が出来るからって昔からお姉ちゃんばっかり可愛がられた!私はずっとのけ者だった!」 
「旦那くんは卒業したら結婚してくれるって言った!」 
A父「随分でかい口叩くじゃねーか!それならお前とあのガキでうちの金庫から盗んだ金全部、あのガキ(高校生旦那)が返してくれるんだな!」 
その言葉にAはさらに反応。 
「キイイエエエエエエーー!」と泣きじゃくりながら奇声を上げ、自分の鞄やコート、近くにあった廃棄処分のお弁当を投げつけて事務所はとんでもないことになった。 
ひいいいもうヤダ帰りたいと思いながら壁際でしゃがんで縮こまってたら、事務所のドアを誰かがノックしてきた。 
店長が開けると、そこにはKの方々が立っていた。 

何でもあまりに奇声が聞こえてくるので、驚いたお客さんが通報しちゃったらしい。 
事務所内はぶちまけられたお弁当類、デザートの生クリームが散乱。 
なおも泣きわめくAと、恐怖に歪んだ私と店長の顔。 
ラーメンのツユを頭から被ったA父を見て困惑したKが店長から事情を聞く。 
どっちにしろ窃盗なので通報するつもりだった店長はサクッとAをKに引き渡した。 
A父は店長や従業員に「ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした」と泣きながら土下座。 
AはまさかKに連行されるとは思ってなかったようで、泣き喚きながら「ヤダヤダヤダ!離せえええええ!!」とすごい抵抗をしてました。 
その後事務所内を大掃除したんだけど、匂いが充満してまた修羅場。 
真冬なのに換気のため窓を開けておかねばならずめちゃくちゃ寒かった。 

あと、私にも関係があるって言われたのは何だったのか聞いたらA、私の財布からお金抜いてた…。 
全然気付かなくて、私の財布に入ってたその日に支給されたお給料から諭吉二人抜いてました。 

ATMで手数料が有料になる時間帯になる出勤前に、支払いのお金だけ下ろしてお財布に入れてたんだけど、それをAがいつの間にか盗んでた。 
お財布を見て改めて気づいて、自分どんだけバカなんだと己のマヌケさと隙の多さに自分を責めまくり落ち込んだよ。 

他のパートさんもやられたらしく(修羅場の時は出勤の日じゃないからいなかった) 
被害は総額で結構な額になってた。 

店長の見る目のなさ(Aは怖い厳しそうな人の前でだけ真面目ぶってた)もあるし、自分の防犯意識の低さと鈍さと生まれて始めて遭遇した泥キチに目眩がした出来事でした…。 
Aは当然解雇、それまで働いた給料は振込みなので給料明細と履歴書だけを郵送。 
すると後日A父が改めてお店に謝罪に赴き、盗んだお店の売上金と私達から盗んだお金を返してもらいました。 
Aは自宅に監禁、両親が行動に随時目を光らせているらしい。 
Aの子供はA父が責任を持って育てると言って最後まで頭下げて回ってました。