何年か前に自衛隊のでっかい船が港に来ていて見学させてくれると言うので母と一緒に行った。

船の中を探索していたら、甲板の所で手旗信号の実演をしていたので見学。


簡単にやり方を説明した後「では実際にやってみます」と近くにいた子供に耳打ちで名前を聞き、その場で手旗信号を送り2,3メートル離れた相手がそれを読み取り

「○○くん×歳」と解読→正解→拍手と言う流れ。

「もう1回やってみますがどなたかメッセージ送りたい方いらっしゃいますか?」

と辺りを見回すと、私の隣にいた30代位の男性がすぐさま手を挙げ自衛官の元へ近づき事前に用意していたらしいメモを渡した。

最前列で見てたから会話が聞えてたんだけどメモを読んだ自衛官は「本当にこれでいいんですか?」と念を押している。

男性の方は笑顔で「お願いします」と言うのですぐさま手旗信号を始め、信号読み取った自衛官が戻ってきてマイクを持ち

「○○さん大好きです。これからもいっしょにいよう。僕と結婚してください」
と言った。


自分含め周囲は一瞬「は?」となったものの、男性は私の母の隣にいた女性に指輪の入った箱を差し出し、

「ああこれプロポーズだったのか」と漸く周囲も理解し、まばらに拍手が起こったが良く見ると女性の方は顔をしかめたまま指輪を受け取ろうとしない。

気まずい流れだと自衛官も前の方で見ていた見物人もすぐに悟り妙な空気に。

すると彼女の背後にいた仲間らしき男性が

「とりあえず受け取れ。じゃないと終わんないぞ」

と言って、漸く指輪を受け取り自衛官の人は「ではこれで終わります!」とそそくさと撤退。

見物人が解散しかけた辺りで女性がプロポーズしてきた男性に投げつけるように指輪を返し走って逃げて行った。

それも衝撃な光景だったんだけど、

「サプライズな演出狙ったんだろうけど見ず知らずの人に手旗信号で言われたって嬉しくないわよ。ちゃんと自分の口で言いなさいよ」

とフラれた男にアドバイスしていた母が衝撃的だった。