当時大学生でした。

彼氏は同ゼミのすごく真面目な人。苦学生でバイトたくさん掛け持ちしてた。
家があまり裕福じゃないから奨学金もらって
生活費はバイトでまかなうんだって言ってた。
わたしも裕福な学生ではなかったけど
彼にごはんおごったり、家に呼んでいっしょに食事したり、お弁当つくったり
おもに食費系のところで協力していた。


彼は常時4つくらいいつもバイトをしてました。
それも時給がよくて体力的にキツイ感じのところばかり。
運送屋とか荷揚げ屋?とかです。
でもいつもお金がない、お金がないって言ってた。
わたしから見ても彼はぜんぜんお金使わない人だし服はオールユニクロ。
あれだけ時給のいいところでバイトしてて
なんでお金がないんだろ?とたまに不思議になることはあった。

わたしは近くの県からその大学に進学したんだけど
彼はかなり遠くから来ていて(大学は東日本、彼の実家は西日本)
なかなか帰省できないけど、
ほんとにいい家族なんだ、みんな仲いいんだ、早く会いたいな~っていう話も
よく聞かされていて、いわゆる「貧しいながらも楽しい我が家」って
感じなんだろうなと想像してほのぼのしていた。

ある日、彼と道を歩いてたら知らない人に呼びとめられた。
「おーい、×男(彼の名前)じゃね?」
彼氏とっさにすごくイヤな顔をし「早く行こう」と。

「え、なんで?」
「苦手なやつなんだ」
でも赤信号だし…と思ってるうちにその人が来た。
「やっぱり×男だー。ひさしぶりだな。それ彼女?」
彼、なぜかモゴモゴ。

わたし「そうです。×男くんのお友達ですか?」
「うん。中学んときの同級生」
「え、じゃあ○県の人なんですね。○県の人でこっちに進学した人って意外と多いんですね」
「は? 俺、△県出身だけど」
「え?」
「俺も×男も、△県(大学の近県)出身だよ」

ええ?と思ったけど
「やだ、そうでしたね~わたし天然ボケなもんですいませ~ん」
って笑ってごまかしてその場は終わった。

その人と別れてから彼氏に「どういうこと?」って聞いたけど彼はダンマリ。
しまいに「うるさいな、俺が信用できないのか!」って
怒鳴って、さきにずかずかわたしのアパートへ帰り、
そこでもずっとダンマリ。
しまいに寝室にひきこもろうとしたから
「いやここ、わたしのアパートなんだけど」って引きもどしたら
ビックリした顔で急にしゅんとしてた。


今まではけんかしてもわたしの方が機嫌とることが多かったから
今回も不機嫌にムスっとしてればわたしが折れると思ってたみたい。
でもあてがはずれたみたいでほんとうにビックリしてた。
その顔が腹立って、その日は追いだした。

その後、同性で同ゼミの友人Aに相談。
A彼が顔の広い人なので、△県から進学してる人何人かをあたって
彼を知ってる人がいないか探ってもらった。

結果。
彼が言ってたことの八割は嘘だった。

・○県出身→△県出身
・生活費をかせぐためのバイト→親のパチ代をかせぐバイト
・仲良し家族→地元で有名なパチ狂い両親+祖父母+サラ金地獄の妹
・食費も満足にない→収入は十分。ぜんぶ両親祖父母妹に貢いでるだけ

そして重度のマザコン&シスコンで
「学生時代のうちになるべく言いなりになるアッパラパー女見つけて
おれといっしょにパパママと妹に貢ぐATMになってもらうんだ」
が口癖だったそうで…
もちろんここまではっきりじゃないけど、そういう意味のことです。

ちなみに私はパチンコ大嫌い、賭博一般、借金も大嫌い。
事実を知ってすぐ彼と何度も話し合い、
「家族にいくら貢いだって無駄。パチンコ依存症にお金あげたって意味ない」
「あなただけでも家族と離れて」
と何度も頼んだ。やっぱり好きだったし。
騙されてるとわかってからも、一家で彼だけ犠牲になってる状態だから
彼は悪くないと思った。
ただ洗脳?されてるだけなんだって。

彼も最初は耳を傾けてくれて「別れたくない」って言ってくれた。
でもやっぱり家族は見捨てられないと。
わたしを今は本気で好きだからATMにする気はないけど
でもいっしょに家族を支えていってほしい、って言われて
ちょっとめまいがした。
いやそれATMってことじゃん…。


上の指摘ではじめて休憩所なことに気づいたw
でも今更だからこっちに続き

話し合いは2カ月くらいつづいたんだけど
ある日プチーンと堪忍袋の緒が切れたらしい彼に
わたしはボッコボコにされた。
途中からのことはよく覚えてないけど、アパートの人が通報してくれて
それで助かったみたい。
後日駆けつけてくれた友人Aによると「顔の形が完全に変わってた」らしい。
頬骨とか歯とかなぜか指とかも折れてて
全治までけっこう時間がかかった。

暴行事件はすぐ噂になり、彼はゼミにいられなくなってすぐやめた。
しばらく彼からは粘着メールが来て
「やりなおそう、愛してる」
「殴ったのは愛の反動。骨折するほど殴ってしまったのはそれほど愛が深いから」
「きみの痛いところを夜通しさすってあげたい」
等々意味のわからないこと言ってたけど
AとA彼氏が根回ししてくれ、最終的に恩師とA彼氏が一喝してくれたことで
メールもやんだ。

あれから何年も経つが、A彼氏経由の噂によると
彼は地元に戻り、家族の優秀なATMとしてせっせと働きながら
両親と妹の借金も背負い込み、見事な多重債務者としてブラック化しているらしい。
ほんとうかどうか知らないが、名字を変えるため
誰でもいいから結婚したいとぼやいているそうだ。

一歩間違えたら自分がその「名字を変えるためだけの役」を
やらされてたんだなーと思うと、ぞっとしました。