彼女、26歳、広島出身、東京在住。
俺、27歳、東京出身。
ちなみに、この話の中では俺は空気です。

広島から転勤してきた彼女は、俺が言うのもなんだがおっとりした美人。
「寒いけん、あったかくして寝んちゃいね~」などと、おっとり広島弁に癒される日々。


先日、その彼女と地下鉄に乗っていたときのこと。

そこそこ混み合った社内で、4人分くらいの座席を、大股広げた中学生DQN2人が独占していた。
俺と彼女は人の流れに押されるまま、そのDQNの前に立つ形に。
DQNは席を詰める様子もなく、ひたすらでかい態度。
俺も彼女も口には出さなかったが、「鬱陶しいな…」という空気で立っていた。

何駅か過ぎたところで、俺たちの隣にお婆ちゃんが乗ってきた。
ピシッとした出で立ちのお婆ちゃんだが、常識的に考えて席を譲るべき年齢。
やや足元もおぼつかない感じ。
が、DQNは席を譲らない、詰めない。
俺は「席を詰めるように言おうかな~、逆にお婆ちゃんに気ー使わせるかな~」と考えていた。

やや経ったころ、お婆ちゃんがDQN達に向かって、「ごめんね、ちょっと詰めてくれる?」と声をかけた。
DQN無視。
お婆ちゃん、再度「ねぇ、ちょっと寄ってちょうだい」
DQNさらに無視。
見てる俺たちや周りの乗客、ちょっとハラハラ。
お婆ちゃん「ねぇ、あなた達…」
DQN「うっっせーーーなーーー」


DQNブチ切れ。
「ここ優先席じゃないんですけどー」
「俺らの年金税金で生きてるババァは立ってて下さーい」
「つーか健康のために立っとけ!」
挙句の果てに、お婆ちゃんが持ってた手提げをパカッと蹴とばした。

あまりのことに俺が声をあげる…より先に彼女がキレた。

彼女、DQNが被っていたヤンキースキャップを奪い取り、スパンスパーン!とDQNの頭を引っぱたいた。
「あんたら、いい加減にしんさいよ!!」
逆上して立ち上がるDQN。
が、もともと高身長な上にガッツリヒールの彼女。
所詮発育途上のDQNをド迫力で見下ろすと、DQNひとりの金玉ピアスをねじり上げ、
「年長者への口の聞き方も知らんのん!?
大体あんたら、税金も年金も払っとらんでしょうが!!
消費税しか払っとらんガキがデカい口叩きんさんなや!?
それ以上調子に乗ったら、次の駅で引きずり下ろすけぇね!!!」
(よく覚えてないけどたぶんこんな感じ)

DQN、あまりの迫力にアワワワ。
ついでに俺もアワワワ。
お婆ちゃん、能天気に、「まぁ、お見事~、ああ、すっとした!」
周りの乗客、拍手。

地下鉄を降りた後、彼女はいつもどおりのニコニコ顔に戻っていたが、
あまりの変貌ぶりに、絶対こいつを怒らせることはするまいと心に誓った。