身バレすると本当にマズイのでフェイク入れてます。

就職の面接が双方修羅場だった。

学生の頃、帰省して長期休み中に、バイト先で社員さんにイジメを受けた。

無視、暴言、粗探しなど。


うっかり締め出されたり、手帳を回し読みの挙句捨てられた時は泣いた。

首謀者Aにはしょっちゅう暴言吐かれてた(他の人はそれに便乗してイジメ開始のパターン)。

親の紹介で入ったバイトだったから、迷惑をかけたくなくて誰にも言わずに耐えた。

(ド田舎で、バイト先も限られる状況。本来ならバイト枠がない場所に居たっぽい)

断る、辞める、という選択肢は当時の自分にはなく、本気で悩んだ。

長期休みが怖くてたまらなかった。

卒業して隣県に出て、少し専門的な仕事に就いて、気が付けば何年も経ってた。

その間結婚もした。

その後、私のいる専門部署の新人さんの面接があった。

私は偉くもなんともなかったのだけど、採用担当は現場のことを知らないし、
その頃には部署で一番長くなってたし、配属先はうちだからと関わることになった。

技術や経験が必要だから中途採用で入れてるんだけど、雇ってガッカリ、ということが過去にあったらしい。

ぱっと見は派手な仕事、待遇もそこそこいい。

求職者も必死だし、職歴を派手に盛って、
実際はその仕事のサポート程度だったり、職安で講習を受けた程度だったり、
酷い時は全部嘘だったりしたから、スキル的な面は現場代表を同席させて判断させるということになってた。

ここまで前置き。


送られてきた応募書類に、どこかで見たような顔と名前、うちの田舎の地名があった。

Aに似ていた。

でも、職歴に「あの会社」がない。

立派なその専門職関連の会社がずらりと並んでいた。

別人だろうか。

本当にAなんだろうか。

どこにでもある名前だし、同じ町出身の他人かもしれないし。

書類選考の間に、実家に聞いてみることにした。

Aらしき人物が試験を受けに来たことは言わずに、
学生の頃ずっとバイトしてた会社で、お世話になった人の消息が知りたいと言って調べてみた。

田舎ネットワーク怖い。

守秘義務もプライバシーもない。

書類の人物はA、職歴は嘘だった。

唯一前職のみが本当。

試用期間で辞めました、とあったけど、派遣のトライアル期間で更新なしの状態とか、そんな感じなんだろうと推測した。

前々職以前なら詐称してもバレないと踏んだのかもしれない。


この時点で詐称で落とすこともできたのだけど、書類選考はあえてAを押して通過させ、面接へ。

部屋に入って来た瞬間、少しだけど冷や汗が出た。

何年も前のことでもよく覚えてるもんだね。

他の面接官が一般的な質問をする中、自分の質問タイムで色々振ってみた。

私の担当は主に専門スキルや現場のことについての適性調べだと言われてた。

「へえ、■社にお勤めだったんですか!あそこ厳しいって有名ですよ、すごいなあ」

「退職理由なんてどうでもいいんですよ、大事なのはここで頑張ってくれるかどうかですし!」

等、ポジティブな方向で和ませて、そして

「■社の●●さん、お元気ですかねえ」

「ところで■社で使ってたこのソフトのバージョンは?」

「このソフト、こういう所が不便じゃないです?実際に」

等、職歴が嘘だと答えられない質問に変えていった
(質問内容は職バレ警戒でフェイク入れてます)。

このあたりのやり取りで専門知識のない他の面接官も
「あれ…?この人(A)実際に仕事してたの…?」
といった顔に。

空気が悪くなっていった。

「でも、最終的には一緒に働く人っていうのは、やっぱり人柄ですよね」
と言うと、ほっとした顔になるA。

「仕事ってやっぱり人間関係だと思うんです。働くのは人ですから。うち、正直仕事がきつい時もあります。
けど、いい人多いし、チームワークとか信頼とか、新人さんはきちんとみてあげるとかね、そういうので頑張れてたり」

うんうん、という顔のAに

「だから、立場の弱い人をイジメたり、場の空気をダメにする人とかいるとね、困りますよねえ」

Aは他人事のように、そうですよねえ、と返してた。

周囲も、もうこの時点以前にこの人はないわ、という空気になってたんだけど、面接が一通り終わって

「あと何かAさんに聞いておくことがあれば…」
タイムになったので、

「じゃあ最後に私からひとつ」

「Aさん、●町にお住まいなんですね。
私、昔その隣町でバイトしてたんですよ、●って会社ありますよねあそこ。
ちなみに旧姓の時なんですけど。Aさんが■社にいらした時ですから、あんまり接点ないと思いますけど、なんだか地元が懐かしくなって。
最後に世間話ですいませんねえ」

といった内容を一気にしゃべった。

他の面接官には落とす人を和ませる話題か、余談の世間話にしかとれなかっただろうけど、すごい驚いた顔で、その後部屋を出ていくAには生気がなかった。

気付いたんだろうな。

陰険なDQN返しだったと思う。

実際にはざまぁとかそんな気にはなれなくて、後味はあんまり良くなかった。

というかこっちが緊張してビクビクしてたぐらいで、前夜まで布団の中で悩んでた。

周囲に偉い人がいる中で、あの面接は双方修羅場だったと思う。