とある会社で働いていたが、その会社の社長がちょっとやらかして倒産の方向になってしまったので、仲がいい同僚同士で独立して会社を作った。

原資はみんなの退職金を集めることとして、その中の最年長だったAが社長をやることになった。


最初からある程度人材がそろっているのもあったし、倒産した前の会社の取引先が、そのまま大き目の仕事をくれたので、順風満帆、オフィスまで構えて新スタートを切った。

もちろん最初はみんなスタートアップの時期だからということで給料を低く抑え、経理は、別の会社の経理をやっていたAの奥さんに委託。

同僚のうち役職経験者のBが社内全体を取り仕切る取締役について、Aは経営に専念することになった。

しかしなぜかよく知らない人が会社に出入りすることが増え、Bもだんだんそういった会合から外されるようになってきた。


そのうちAのプライベートなブログを見ていると、銀座で買い物したり、高価なゴルフクラブを買ったりしているのが分かった。

社長になるということでリスクもあるから、多少みんなより給料は高く設定したはずだが、そんなものが毎月買えるほどもらっているはずはない。

さらにAは、いつのまにかみんなが乗りもしない社用車も買って自宅で乗り回していた。


これはおかしい、ということでBとも話してAの動向を調べることに。

すると出るわ、出るわ……。

みんなで必死に稼いだ仕事の報酬を思う存分経費で使いまくっていた。

自宅のリフォームまでやっている。

おまけに知らない社長の友人の入社が決まっていることが発覚したり、しかも会社の運転資金も相当使い込んで、あと二か月で運転資金が尽きることが発覚した。


これは危ないということで周囲とも情報共有したが、一部の社員がAがそんなことするはずない、そんな人じゃない、といくら証拠を突きつけても信じない。

あとでわかったがAについた社員は全員、Aから高価なクラブにつれていってもらったり、高いものをもらっていたりしていた。

調べている途中で社内メールの監視なんかもしていたのだが、それをバラした奴がいて、俺とBがうまいこと理由をつけられてクビ。

しょうがないから再就職したのだが、その後、Aと取り巻き達は南の島に社員旅行にいったようだった。

そしてその二か月後に給料遅配→未払い→倒産。

Aは数千万の借金をかかえて高価な住居からも追い出されて、奥さんの実家の農家に転がり込んだそうだ。

100歩譲って稼いだ金を乱雑に使う、くらいなら理解できなくもないが、銀行から受けた融資まで使い込んで何がしたかったのか理解不能。

その後AはだいぶBを逆恨みして悪口を周囲に吹き込んで、倒産したのだから取締役にも責任がある、訴えるとか言い出したらしいが、Bは情報からシャットアウトされていたこと、メール監視も取締役の当然の義務、資金が完全につきた直接の原因が俺とBが退職した後の豪勢な社員旅行、ということで当然Aの完敗。

それにしてもどうしてそこまで妄執的に金を使うようになったのか。

素直に最小限の人数で地道にやっていれば今でもあの会社はあっただろうにと思うと複雑な気分になる。