子供の頃、母親から父親の職業は公務員と教えられてた。 
小さい頃は疑って無かったけど、大きくなるにつれ疑問が出てきた。 
しょっちゅう家に居ないし、居ない時は連絡が取れない。 

家族で出かけることもなく、珍しく出かける予定があっても大抵キャンセルだった。 
ある父親参観日に父親が来た。 
まず来れないと思ってたので嬉しかった。 
出勤前に寄ってくれたらしくすぐにいなくなった。 

休み時間にあれ誰のお父さん?と言われて、私のと言おうとしたら男子が、 
絶対あれはヤクザだと言い出した。 
確かにコワモテで物静かだけど妙な迫力はあるし、穏やかに話してても威圧感のある声な父親だった。 
目も怖い。 

父親に怖い目に遭わされたことは無かったけど、もしかして?と思った。 
あれが私のお父さんと言えなくなった。 
家にかかってきた電話に話す内容もヤクザ関係に思えた。 
夜中に両親が交わす会話を聞いてしまった時、身を案じる内容だった。 
ヤクザの抗争のニュースを見て、母親がこっそり不安そうにしてるのも見てしまった。 
自分はヤクザの子でいつかヤクザに就職で面接に行かないといけないと思ってた数年間は修羅場だった。 
ヤクザの家にピンポンと鳴らして面接に行く夢を見ては朝泣いてた。 
父親が刑事だと知るまで絶望して食欲もなくガリガリに痩せて体が弱かった。 
夫の身を案じながら、食が細く弱い娘を病院に連れてったり食事療法してた母親も修羅場だったかもしれない。 

あの頃頑張ってたであろう両親に、まさかヤクザだと思い込んでたなんて到底言えない。 
一線を退いた父親は、昔みたいな威圧感もなく、穏やか。