うちの父親が八方美人の安請け合いな人で

「困ってる人をほっとけないんだww」

と言いつつなんでもかんでも引き受けて、でも自分では何もやらず、家族に尻拭いさせる人だった。



例をあげると遠縁の叔母(独身)が病気になったら引き取ってきて、母と私に看護させるとか

たいして親しくもない市議に「応援をしてやる!」と飲み屋で宣言して、当時受験生でバイトもあった私に

「無償で選挙事務所に通って、名簿作成やら宛名書きやら炊き出しを手伝え」

と強要する等々。

もちろん父本人は何もしない。

母は「お父さんはああいう人だから」とあきらめきってエネme。

私はうんざりしつつ家を出る機会をうかがっていた。


一年ほどして私に彼氏ができた。

なるべく父に似てないタイプを選んだつもりが、やはりだめんずで自分に非があってもけっして謝らない人だった。

当時もやっぱり家は父の安請け合いで混乱しており(お金がらみなのでぼかします)関係ない私も駆けずりまわされ、疲れきっていた。

そんな私に彼氏が「気晴らしになにかうまいもんでも食いに行こう」と言ってきた。

しかし彼が指定したそのお店はもう移転してそこにない。

私は「今そのお店はA町にあるよ」と言ったのだが

彼は「ナビはB町にあると言ってる」とナビを信用し、B町に向かった。

当然のことながら、お店はB町にはなかった。

途端に不機嫌になり黙り込む彼。

A町に向かうでもなく、帰るでもなく、ひたすら無言でぐるぐるあてどもなく走り続ける。


いつもならこっちから話しかけたりなだめたりして機嫌をとるところなのだが、そのときの私は家のことで疲れていた。

彼の機嫌をとる気力もなく、「もうどうでもいいや」という気分になり、彼の横で私もただ黙っていた。

そのまま無言ドライブが4時間。

駅に近くなったところで「おろして」と頼むとあっさりおろしてくれたので、そのまま電車に乗って帰った。

もう別れてもいいやと思った。


彼は私が謝って機嫌をとるのを待っていたらしいが、その後二ヶ月なんのコンタクトもとらずにいたら彼がストーカー化した。

ロミオではなく、「土下座したら許してやる」「慰謝料払ったらやり直してやる」と上から目線の恐喝系ストーカー。

ストーカーは家にまでやって来た。

そして父とストーカー邂逅。

なんと父はストーカーに

「俺が娘との仲をとりもってやる、まかせろ」

といつものように安請け合いしたらしい。

これまた上から目線で

「あいつとやり直せ。結婚しろ。そうでないと俺のメンツがつぶれる」

とわけのわからないことを言ってきた。


そこが私の限界点だったらしい。

なにかがブツっと切れた。

ああもうこんな父親いらんわ、と思った。

かわいそうだと思ってた母ももういいや。

もちろんストーカーもいらん。

こいつら全部いらない。


うんざりしつつも何年もデモデモダッテしてたのに、なぜかその瞬間からサクサク動くことができた。

親に内緒で他県に転職し、アパートを契約し、荷物をちょっとずつ運び、ある日普通に出勤するふりして、そのまま出奔した。

もちろん携帯も解約。

友達も、残念だが全部切った。


今は孤独だが、平和で快適な日々です。

すっかり忘れてたヤフメにストーカーからのロミオメールが届いてるのを最近発見し、なーんだやる気になればロミオれるんじゃん、と思ってちょっと笑った。