8年程前、同じ県内にある村立の小学校に2年って契約で単身赴任した。

未踏の地だったので下見に行ったが、コンビニ所か街灯すら殆ど無く人間より家畜の方が多い地だった。


当時県庁所在地在住の俺にはここで生活するのは無理だと思い、20キロ程離れた街で部屋を借りるつもりだったが教頭から村内にって懇願され、更に水道代ただの住宅代をただにするからって事で、泣く泣くそこを借りたのが間違いの始まりだった。


田舎にはプライバシーが無いと巷ではよく言われるが、赴任したてで、引っ越しの片付けをしていたら近所の親父がやって来て今から消防の訓練に行くぞ!って言い出した。

当然消防に加入した記憶も無く、その事を話せば、学校関係者は強制と言い出す始末。

その日は参加こそしたが、仕事でいけない日が続くと、消防と仕事どっちが大切なんだ?と詰め寄られたり、放課後たまたま逢った近くのばあさんに、先生の家の冷蔵庫に大根と白菜入れといたからって言われ。

どうやって家に入ったのかを聞けば、村役場で鍵借りたと。

4月でまだ少し寒かったし、毎日家に帰ってるんだから玄関先に置いとけばいいだろうが!って喉元迄出懸った。

それ以外にも学校外の村の行事には駐在、消防、小中学校の全職員は問答無用で駆り出された。

何とか我慢してやってたが、その年の8月の第二日曜に村の祭りがあると聞かされていたから当然駆り出されると思って、家族旅行はその翌週末に予定してホテルも抑えた。

所が、7月の末近くになって役員の家族旅行と言う身勝手な都合で祭りが一周延期になった。

俺は当然その事を教頭に伝えたが、教頭はだったら君の奥さんと子供さんも参加させなさい。

子供には自然に溢れたこの村の環境はいいし、祭りの準備で女手も必要だから一石二鳥。と抜かしやがった。

色々積もり積もってた俺はついき切れて、今後学校外の行事には一切出ないし、消防にも行かない。

部屋も今月で退去して、村外に引っ越しますと宣言し、本当にそうした。

まぁその後当初の契約通りの2年で転勤したけど、学校でも浮いてた気がするけど特に気にしなかった。


その学校が今年度で統合に因る廃校って事で、過去に勤務した事がある先生から一言コメント下さい。ってFAXが届いてたけど、8年も前だから当然今居る子は当時の子の弟や妹って事はあっても直接的には誰も知らないし、あの2年間は忘れたい期間だったので2.3分で当たり障りの無いコメント送っておいた。

本当、ド田舎の人間のずうずうしさを思い知った2年間だった。