私の初恋は幼なじみのイソノくん(仮)でした。
いつも、もう一人の幼なじみのナカジマくん(仮)と3人で遊んでいました。
物心ついた時から好きでしたが、3人一緒に遊べるだけで満足していました。
が、中学生になった時、私はナカジマくんに告白されました。

全然予期していなかったことだったので、ハナザワさんポジションの私はうろたえました。
まさかリアルハナザワさんのように、「私が好きなのはイソノくんなのよ~アハハ~」
と言えるわけもなく、「付き合うとか今は考えられない」と言いました。
ナカジマくんは「わかった。じゃあ、俺待ってるね」と言い、その後はいつも通りでした。
あっけないしわけわからん感じで、中学高校もゆるく3人でつるんでました。

私は中学高校も、初恋を引きずってほんのりイソノくんが好きなままでした。
イソノくんはどう見ても恋愛に疎そうだし、まぁこんなもんかしら、と思ってました。
が、大学に入って事態は急変。
イソノくんは入学直後にカオリちゃん(仮)という派手な女の子と付き合いだしました。
かたやハナザワ、かたやカオリちゃん、勝敗はあっけなくつきました。
初恋は実らないものね、と過ごしていたら、大学卒業前にまたナカジマくんに告白されました。
衝撃と、こんなに長い間思っててくれたことがすごく嬉しくて、付き合いました。
イソノくんも私たちが付き合いだしたことを、すごく喜んでくれました。
そのままお互いにうまく付き合いはすすみ、イソノくんたちが結婚することになりました。
カオリちゃんが式の打ち合わせで、頻繁にイソノ家に出入りするようになりました。
それからしばらくして、私はナカジマくんに相談を受けました。
「カオリちゃんの浮気現場を目撃したかもしれない」と。 


ナカジマくん曰わく、
「仕事の接待からの帰り、飲み屋街で知らない男と路上でキスしていた」
「細身の男だった、あれは絶対にイソノじゃない」と…。
もうすぐで結婚なのにまさか…と思いましたが、ナカジマくんが見たこともあるので、
一応それとなく、イソノくんに最近のカオリちゃんの様子を聞くことになりました。
すると「…なんか嫌な予感がするんだ。ナカジマ、何か知ってるのか?」
と逆に聞かれてしまったので、ナカジマくんは正直に全部話しました。
全部聞いたイソノくんは「やっぱりなぁ」と言って泣いていました。
その後、イソノくんが独自で調べ上げた結果…カオリちゃんは、
イソノくんの妹ワカメちゃん(仮)の彼氏、ホリカワくん(仮)と浮気をしていました。
2人は、まさかバレるなんて思ってなかったのか、メールがほとんど残っていたそうです。
イソノくんは、婚約を解消することを決め、まずカオリちゃんに話をしようとしましたが、
タイミング悪く、カオリちゃんが一人で旅行に行ってしまいました。 

カオリちゃんが帰ってくるまでの間、イソノくんはご家族に婚約解消のことを、
たっぷり説明つきで話すことができました。浮気相手の名前を伏せて。
これは、家族の前で言われたくないだろうというイソノくんの配慮で、
ワカメちゃんには私たちから伝えました。ワカメちゃんも薄々気付いてたようで、
「すごく悲しいけど、ある意味、わかってほっとした。すっきりした」
と言って泣いていました。その後、ホリカワくんとはすぐに別れました。
そんな頃にカオリちゃんは帰ってきました。
帰ってきてさっそくイソノ家に呼び、婚約解消のことだけをイソノくんが告げると、
「ごめんなさい。許して。だってイソノくんの子供だけが生みたかったから」
と言ってカオリちゃんは泣き出しました。
カオリちゃん、旅行ではなく、本当は○絶手術に行っていました。 

ホリカワくんとの子、だったそうです。イソノくんは避妊してたそうで…。
カオリちゃんはそれがバレたのかと思ったようですが、こちらは衝撃でした。
単なる浮気だけじゃなかったのかと…。
ホリカワくんは成人はしてましたが、フリーターでしたし。
そしてなぜか、カオリちゃんの標的が私たちに。
「ハナザワさんもホリカワくんと浮気してるよ!」って言い出しました。
「私よりハナザワさんの方が先だった!だから私は悪くない!」
そう言ってカオリちゃんは、イソノくんにすがりつきました。
「お願い!私にはイソノくんだけなの!もう絶対しないから!良い奥さんになるから!」
本気で泣いて叫んでる人はこわかったです。声がガラガラというか…。
それでもイソノくんが、婚約解消を言うと、「ハナザワさんのせいなの!?」
と言って、右手に花瓶を持って私たちに突進してきました。
いやもう、本当にこわかったです。ナカジマくんが花瓶だけ取り上げてとめてくれました。
それも気に入らなかったようで、カオリちゃんはナカジマくんに絡み出しました。 

「なんで庇うの?怪しくないの?裏で何してるかなんてわかんないでしょ?
みんなわかんないでしょ?みんななんかしてるでしょ?
なのになんで私だけ?バレた私だけ怒られるの?悪者なの?」
一気にそういうことをまくしたてると、カオリちゃんは座り込みました。
「俺ハナザワさんのこと疑ったことないよ。ありきたりだけど信じてるんだ。
カオリちゃん、自分が悪いことしたと思ったら、反省するしかないんだよ。
他の人が何してても関係ない。
カオリちゃんのしたことは、他人を貶しても変わらないんだよ」
といったことをナカジマくんが言うと、カオリちゃんは大声で泣き出しました。
「ごめんなさい、ごめんなさい」とずっと繰り返しながら。
途中、「泣きたいのは私とお兄ちゃんよ!」とワカメちゃんがクッションを投げてました。 

その後、カオリちゃんとイソノくんは婚約解消したものの、またゼロから、ということで、
今も文通して過ごしているようです。携帯での連絡はなしで、文通のみで。
イソノくんは、とても傷付いたけどカオリちゃんを嫌いになれないようです。
私は姓がナカジマになり、ワカメちゃんも立ち直り、素敵な人と結婚しました。
カオリちゃんと時々連絡とりますが、イソノくんにいつかまた信じてもらえるよう、
仕事に私生活に頑張っているようです。
ホリカワくんはあのあと、逃げるように引っ越してそれきりで知りません。
イソノくんはカオリちゃんにもホリカワくんにも慰謝料請求しませんでした。