もう6年も前の修羅場なんだけど
最近思い出してムカムカする出来事があった。

◆登場人物
私(当時24)…社会人2年目。
(元)彼(当時22)…大学4年生。元はサークルの後輩
A子(当時20)…大学2年生。彼のバイト先の後輩。


付き合って3年目、お互いの親に紹介も済んでいて、
相手学生なのですぐにではないけど、結婚も視野に入れていた頃のこと。
彼のお父様がくも膜下出血で倒れた。
彼は半泣きで実家に帰る身支度を始めたが、焦りすぎて同じところをウロウロしているだけ。
私がしっかりしなければ、と思って彼の着替えをかばんに詰めて、車で駅まで送っていった。

翌朝、手術が成功したよ!と連絡が入り、胸をなでおろした。
「生ゴミも、炊飯器の中身もそのままにしてきちゃった。」という彼に、
「やっておくから心配しないで。ご家族の傍にいてあげて。」と快く答え、
仕事の後で彼のマンションに掃除に行った。
生ゴミをビニールにまとめ、さらにゴミ袋に入れてゴミ出ししようとすると
部屋に大きなゴミ袋が無造作においてあったのでそれを使うことにした。
ガサっと口をあけると、中に大量の手紙、手紙、手紙!2~30通あったかな。
切手も住所もないので直接受け取ったものと思われる。

「いや~こんな時にもめたくないなぁ・・・」と思いつつ、差出人を確認すると
すべて同じ女性・A子の名前。悪いと思いながら、中身を見てしまった。

A子はアルバイト先で彼に一目ぼれして、手作りのお菓子とラブレターをせっせと渡していたようだ。
一応彼は「彼女がいる」とは言っていたみたいなのだが、
「年上の彼女なんかより、同じ学生の私のほうが理解してあげられる」
「私のほうが料理が上手、残業ばかりの彼女なんかより料理を食べさせてあげられる」
「私は世界を敵にまわしてもあなたが好き。彼女より好き。」
「二号でもいいので試しに付き合ってほしい、かならず1番になってみせる」
という熱烈アピールの文面には、怒りを通り越して感心してしまった。
私の何を知っているのかとw

お父様が意識を取り戻し、小康状態になったため戻ってきた彼に
「ゴミ捨てしておいたよ」と言うと
「…見た?」と聞かれたので「うん、ごめん見ちゃった」と答えると必死に弁解が始まった。
A子が一方的に手紙を渡してくる、俺は断っている、俺が好きなのはお前だ、云々。
「あなたを疑いたくはないけれど、A子にきちんと断ってほしい。手紙も受け取らないで。」
とお願いすると、彼は約束してくれ、その場でA子にメールを送ってくれた。


2~3日後、なんと私の職場にA子が凸してきた。
「(私)さんですか!?お願いです、彼さんと別れてください!」
人目があるし仕事の邪魔なので、引き取ってもらうようお願いしたのだが、
脳内お花畑の大学生にはそういう配慮ができなかったようだ。
「お願いです…私には彼さんしかいないんです。心から愛しているんです。」
「私、彼さんを失ったら死んじゃううううううう…びええええ…」と泣きじゃくる。
私が「とりあえず立ってください」と抱き起こそうとするも、拝み屋さんみたいにひたすら土下座し
「お願いです別れてください別れてください別れてください…」と呟くだけ。

「営業の妨げになってしまうのでお引取りを」と上司が出てきてくれて、
ひとまずその場を取り成し、なんとかA子を納得させお帰りいただき、彼に事態を報告。
職場をバラしたのは彼だった。バイト中、世間話の一環で教えたことがあったらしい。
「お願いだから余計なこと言わないでね…」と力なくお願いしたら
「しょうがないだろ!こんなことすると思わなかったんだよ!」と逆切れ。
すごくくだらないことで喧嘩になってしまった。

すると翌日、今度はA子が兄だという男性を連れて職場にやってきた。
さずがにまた店先で喚かれたらかなわないので、場所を喫茶店に移した。

男性は極めて冷静に、しかし怒りを抑えきれないという風に語る。
「A子の父は小学校のときに死にました。それから自分が父親のようなものです。
そのA子がこんなに辛い思いをしているのは耐えられない。あんた一人が我慢してくれたら
全てはうまくいくんだ。いい加減大人になったらどうだ。」
「あんたも年下男のケツおっかけまわしてないでまともな恋愛をしろ。」
「意地を張るな!あんた一人のせいでどれだけの人間が傷ついていると思っているんだ!」

もうね、滅茶苦茶理論にぽかーんとなって、何も言い返せなかった。
「わかったのでお引取りください!!」と追い返すのが精一杯だった。
怖くて怖くて、涙も鼻水も止まらなくて、とにかくその場から逃げたかった。

上司には咎められるし、同僚達からは好奇の目で見られるし、噂は75日経っても消えないし、
本当に散々だった。

冷静になってよく考えたら、私ものすごく酷い目に遭ってるじゃん。
そもそも変な女からの求愛をきちんと断らない彼が悪いんじゃん。
そう思ったらムカついて、彼と険悪な雰囲気になってしまい、毎日言い争い、罵り合っていた。
段々好きな気持ちが薄れてきてしまったので、別れることになった。

ここからは蛇足になってしまいますが。
私は3年前に別の男性と結婚して、現在妊娠中なのですが、
最近子供の名前を考えているときに、旦那がA子とまったく同じ漢字・読みの名前を候補に挙げたため、
急に当時を思い出してしまいました。
「チッ!嫌なこと思い出したな~」と思いつつ、よせばいいのに興味本位でA子のフルネームをググってみた。
最近、Facebookをやっている人が多いので、もしかしたらhitするかも?なんて思って。

一番上に出てきたのは、A子のアメブロだった。
実名、写真、個人情報満載で、「A子のキラキラ☆ブログ~輝く毎日を綴ります」みたいなタイトル。
A子の今の暮らしぶりには興味ないけれど、その後彼とA子が付き合ったのか否か知らなかったので、
出歯亀根性丸出しで2006年の日記をクリックしてみた。
「彼氏とラブラブTDR☆」「彼氏と温泉旅行してきました!」
「こんな私を愛してくれてありがとう!彼が大好き!」と一緒に写っている男性はまったく知らない人。
どうやら、私の元彼とはうまく行かず、2ヵ月後には違う人と付き合いだした様子。
「彼しかいない」「彼じゃないと死んじゃう」んじゃなかったんだね。誰でもいいんじゃん。と脱力してしまった。