俺とA男はとあるマニアックな趣味のサークルメンバー。
A男はその中でもかなりコアな知識を持ったやつで、かつ二次オタであり鉄ちゃんでもある。
何でものめりこむ性格で、夢中になると周囲が見えなくなることがある。

基本悪い奴じゃないんだが彼女いない歴=年齢なのと
ネット上でよくありがちな女叩き(「ただしイケメンに限る」とか「スイーツ(笑)」とか)を
真に受けているきらいがあったんで女っ気はまったくなかった。

かといってもちろんホモというわけではない。
ネットにはいつも「幼女と二次以外の女はクズ」と書きこんでいたが
実際はどうしてもロリコンになれなくて悩んでたり
三次女の尻画像収集に精を出していたりした。
↑これは盗撮じゃなく、ネットで拾ったものね。

そんなA男が恋をした。
仲間内で彼女がいるのは俺とB男だけで、A男はB男と親しくなかったから
俺に相談してきた。
相手は某飲食店の店員さん。
俺はA男に連れられてその店に行き、昼メシ食いながらテーブルから彼女を見た。


可愛い子だった。
いつものA男の主張「茶髪はウンコ色髪」「中古女は肉便器」「三次は糞」等々の台詞を
すべてくつがえす、派手な顔立ちのオシャレな子で
どう考えてもこんな子に彼氏がいないわけがない、というタイプの子だった。

A男は苦悩していた。
今までの主義主張からすると真逆としか言えない女なのに
感情と本能はどうしてもどうしてもその子が好きなのである。
尻フェチのA男(頑なにA男は認めないが)の好みぴったりのパツンパツンの尻をしていたことも
魅力の一因であっただろう。

「でもしゃべってみたらイヤな女で嫌いになるかもしれないじゃん」と
俺が彼女が横を通った時に呼び止めて、
水くれとか取り皿くれとか色々頼み、忙しそうなのにわざと世間話して引き留めたり
めんどくさい客のふりをしてみたが、彼女はいやな顔ひとつせず接客した。
接客マニュアルがあるたぐいの店じゃなかったので
地はどうあれ彼女がそこそこ機転がきいて態度も大人なことはわかった。
でもそうなると余計
「この子はちょっと無理めなのでは」
という結論に陥らざるを得なかった。


すぐに店員さんに告白というのはハードルが高すぎると思ったため
まずはA男に女慣れさせようと思って、俺は彼女に相談した。
彼女いわく「まず男女グループで遊ぶことに慣れさせてはどうか」ということだったので
ちょうど秋だったしみんなで紅葉の山に行って釣りをした。
メンバーは俺、A男ほかサークルの中でも協調性の高い男3人
女は彼女ほか彼女の友達4人。おとなしめで優しい子を厳選してくれた。

その日は非常にうまくいき、なごやかに盛り上がって
A男に関係ないところでカップルが誕生したりと、いい感じだった。
ところが数日後、俺はさらにA男から相談を持ちかけられた。
こないだの釣りメンバーにいたB子のことを好きになってしまったと言うのだ。
俺「え、でもあの店員さんが好きなんじゃないの」
A「彼女のことは好きだ。でも正直手が届かないと思う。大体話しかけるきっかけさえ掴めそうにない。
 店員さんのことは今でも好きだが、B子ちゃんのことも好きになってしまった」
俺「うーーん…ちょっと彼女に聞いてみるわ」

俺は彼女に連絡をとった。
B子はあの日のメンバーの中でも一番かわいい子だったから
正直もう彼氏がいるんじゃ…と思っていたが
彼女が言うには「彼氏いない子ばかりを選んだからみんなフリーだよ」だそうだ。

いきなり一対一で会わせて大丈夫か不安ではあったが
彼女からB子に口をきいてもらって、A男とのデートをセッティングしてもらった。
土曜日、A男は初のデートに旅立った。
初デートは問題なく終ったらしく、A男から俺に浮かれまくったメールが10通くらい届いた。
A男は完全にB子のことが好きになってしまったようだった。


これはひょっとしてうまくいくんじゃ!?と思ったが
やっぱりA男にはスキルがなさすぎた。
三度目のデートで無理やりB子をホテルに引きずり込もうとして泣かれ、
入口で騒ぎになってしまい、駆けつけたホテル従業員に取り押さえられるという事件を起こしてしまった。
さいわい警察沙汰にはならずに済んだというのに
取り押さえられた時A男は顔や腕をすりむいたため「ホテルを訴える」などと意味不明な供述を(ry
それは俺が懸命に止めた。
もちろんB子にはフラれた。

B子に着信拒否されたA男はまた女性不信の男に戻ってしまった。
「どうせまともにやったって女とは付き合えない」
「女はイケメン以外見向きもしない。俺が何やったって無駄」
と言いだしたあたりで、俺はちょっとA男のことが嫌になって距離を置くようになった。
もちろんサークルで会えばしゃべるが、
プライベートの話や、女の話は意図的に避けるようにした。

それから一年ほど経って、A男が警察に捕まった。
容疑はストーカー。
相手はあの店員さんと、そしてなぜか釣りの日にカップル成立した奴らだった。

店員さんに対しては
・尾行して家をつきとめる
・下着を盗む。郵便物を盗む
・ごみを漁る
・家の周囲をうろつく

釣りカップルへは
・いやがらせメールと電話
・デマを流す
・彼女のコラを作って携帯に送りつける等の脅迫
をはたらき、警告が出されていたにもかかわらずストーカー行為をやめなかったので
悪質と判断されて逮捕になったらしい。

なんで俺と彼女はいやがらせの対象にならなかったのは不思議だが
ともかく逮捕どうこうの話になるまで俺はなにも知らなかった。


あとから聞いた話だが、A男は俺は使えないと判断して
サークル内のもう一人の彼女持ちB男にアドバイスを仰ぐようになってたらしい。
そのB男のアドバイスが「とにかく押せ、女は押しに弱い」だったそうで
A男はA男なりに押したのだが、もちろんうまくいかず
最終的にストーカーにまで発展してしまったらしい。
釣りカップルがなぜ巻き込まれたのかはよく知らないし、本人たちも意味不明だったそうだ。
普通に考えて嫉妬だろうか。
何にせよいい迷惑だったろう。

A男は今休学中。
いつ復学するかわからないし、再会したらどんな顔で接すればいいもんやら。