何でも私より優位に立とうとする彼に冷めた。

好きな映画の話をしていると、
「なんでお前あんなの好きなんだよ、あんなの構成クソじゃん」

彼の知らない小説の話をすると、
「俺そういうの好きじゃないから。流行ってるっぽいけどあえて読んでねぇわ」

こんなふうに絶対に私を褒めたり私に教えを乞うたりしない人だった。
まぁこれくらいなら日常茶飯事だったし、もう慣れててどうでもよかった。


でも、私の部屋で私がピアノを弾いていた時の彼の反応に一番引いた。
「今んとこはもうちょっとフォルテだろ~」とか
「この曲俺知ってるわ。けど好きじゃない。」とか
「ベートーヴェンの最高傑作っつったら運命だろ、(お前の今弾いてる)それは俺は駄作に入ると思う」とか。

楽器も何もやってないくせに私の演奏にけちをつけうんちくを語りだす彼に冷めたというかなんだかむかついた。
ベートーヴェンの曲ほかに何知ってんだよ、って。
私は一応ピアノを20年以上続けているので、なんだかもうほんとに浅い知識だけでクラシックのことを語ろうとする彼が本当に滑稽だった。