30年近く前、まだ小学校に上がる前の話
乗っていた車が人を撥ねた
運転していたのは父
父と私と妹の三人でレンタルビデオ店に行く途中だった
ただ、その後の記憶に妹の姿がないから、もしかしたら生まれる前か、父と二人だけだったのかもしれない


父が運転席側のサイドミラーが千切れて道路におちたのを拾い上げる姿と、
救急車で運ばれていく被害者の右足が立てひざになっていたこと、
救急隊員の人が大きなビニール袋を下げていた記憶がある

私と妹はその後、現場に駆けつけた父の同僚に家まで送ってもらった
ただ、そのときに妹がいた記憶がないから、もしかしたら乗っていたのは私だけだったのかもしれない
子供ながらも、「私は平常心でいないといけない」という気がして、
父との車内で歌っていたのと同じように、父の同僚の車でも「私トトロ歌えるんだよ!上手なんだよ!」と、トトロを歌っていた
家に帰ると母親が帰宅していて、私が「大丈夫だよ、怖くなかったよ、平気だよ」と言うと半泣きで抱きしめられた

父は、その日は帰ってこなかったはずだけど、翌日か、翌々日には家にいたと思う。
今思うと不思議だけど、家族の中でもタブーになっているのか、誰も触れないし私も聞けない
人身事故起こしてそんなに簡単に帰宅できるものなのかな・・・
分かる範囲だと、4車線の道路を酔っ払った男の人が横断して父の車に接触した、ということみたい
当時なのか、その後なのか忘れたけど、祖母がちらっと「父の知人が手を回して新聞にも載らなかった」と言っていたのを覚えている

時々ふと思い出しては色々考えてしまう
小学生の頃には、
「救急隊員が下げていたビニール袋は千切れた手足だったんじゃないか」
「手足が千切れたのなら生活に支障があるはず。賠償金とか慰謝料はどうなったんだろうか」とか考えていた。
中学生の頃に読んだ小説で、両親を交通事故でなくしてから車に乗るのもすれ違うのも怖くなった主人公が出てきた。
その主人公はその後克服して車の免許も取っていたけど、私は未だに道路を渡るのが怖い。