私子 オフラインゲームならするけれど、そこまで熱中してしない。
彼男 付き合って3ヶ月までは普通だったけれど、それ以降はネットゲームにはまり、色々おかしくなる。


彼との付き合いに違和感を覚えたのは、付き合って3ヶ月経過した頃。
二人で食事をしている時も会話をしている時も、話題は彼男がしているネットゲームの事だけ。
彼男が一方的に話し、話題に付いていけない私は「へー」「そう」「ふーん」としか応えようがなく、
私が彼男との共通の話題を出すも、急にそわそわしだし、時計をやたら見て時間を気にする。
最初は、二股でもしているのかと勘ぐった。
「ごめん、ちょっと狩りに行きたいから今日は切り上げるわ」と言うなり、席をあとにする事が数回あった。
多分、彼男にとってはデートする時間もネットゲームに割きたかったんだろうな。
それでも、彼の単なる趣味のひとつとしか考えてなかった私は、いつかネットゲームに対する熱も冷めるだろうと考え、咎める事をしなかった。

けれど、その後も「狩り行きたいから帰るね」「今、臨時中で手が離せないから会うの中止しよう」と繰り返され、さすがに彼男はおかしいのじゃないかと思い始めた。


忘れもしない、私の誕生日。二人で、予約していたレストランで食事をしている最中に彼男の携帯が鳴る。
彼男は携帯を開き、メールを見るなり何も言わず席を立った。
「どうかした?」と問いかける私に「しんきが出来た!ふじこふじこ」
私には理解不能な用語を言い、レストランを出て行った。
「しんき?新規?」しばらく彼男の言葉を理解しようと一人で黙々と食べながら考える私もいささか変だったけれど、
なんとなく「別れようかな」という考えが頭を横切った。
彼男との会話が理解出来ないと思ったのは一度や二度じゃない。
それでも半年我慢して今日まで来たけれど、やっぱり私には理解出来なかった。

それから数日して、私は彼男にゆっくり話がしたいから、今度の休日は絶対に時間を取ってとお願いした。
私は、もし彼男と話し合い、彼男がネットゲームはネットゲーム、私子とのデートはデートというように時間を分けてくれるなら別れを保留しようと思っていた。
それは、私自身が、彼男の事を好きだったから。
付き合って3ヶ月の間は特別、変な素振りもなかったし、二人の会話も楽しい物だったから、元に戻れるかもしれないと考えていたのだ。

約束の日、彼男は席に付くなりにこにこしながら「一緒に住もう」と言い出した。
同棲の話も、結婚の話も今までした事ないのにいきなりどうしたの?と聞くと、ペラペラ話し出した。
要点だけ抜き出すと以下。
・ゲームする時間を作りたいから会社を辞めた。シフトの自由がきくバイトをする事にした。
・不況と言っても、きっとまたすぐ仕事は見付かる。ネトゲに飽きたらまた仕事を探す。
・一人で生活するにはきついから、私子の親から譲り受けたマンションで一緒に住みたい。
・家賃はタダだから払わないよ。でも食費くらいなら10000円払うよ。自炊しているって言っていたから足りるっしょ?

これで一気に冷めた。遠回しに「俺を養って」と言ってるようにしか聞こえないんだもん。

私は「まっぴらごめんだ」「あなたと今後も一緒にいる気はなくなりました」と言うと彼は顔を真っ赤にして、
「お前をあてにして会社を辞めたのにどうしてくれるんだー!」「今後、結婚するかもしれない相手なんだから面倒を見るのが筋だろうが!」
と激昂した。
ふっと思いついて
「あ、もうすぐ狩りが始まるから帰るね!」と私は席を立った。
早足で駆けている間、彼男の「ふじこふじこ!!!」という怒鳴り声は聞こえたけれど、無視。

即効、ドコモショップに行き、携帯電話の番号を変え、メールアドレスも変更して、共通の友人に根回し。

あれから八ヶ月経過しました。
彼男は共通の友人から聞いたのだけれど、ついこの間まで、ニートのまま貯金で食いつないでいたらしいけれど、遊んでいたネットゲームが終了するらしく今から仕事を探し始めたらしい。
勿論、まだ無職。